医療崩壊は,今後,加速度的に進む!

 --------勤務医,というか医師の間に漂う,どうしようもない無力感

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 最近,勤務医の先生方と話をして,つくづく感じるのは,どうしようもない無力感とやりきれなさ です.

 ハッキリ言って,どん詰まりの状態です.

 一生懸命がんばったって,給料には関係ないという事はもう知っている.夜に,救急外来に出たって,看護婦や事務職員なら出るはずの,時間外手当が,医者の場合はなぜか出ないと言うことも知っている.

 しかし,これは自分のキャリアを磨くためにやっているんだ,症例を重ねるためにやっているんだという誇りと自尊心があった.

 しかし,その病院に送られてきた自分は,有る意味で,医局の先兵として,その勤務先を充実させれば,仲間や後輩にとってプラスになると言う思考が確かにありました.私は数年前に医局から離れましたが,私にさえ最近までありました.

 私が前任地の道東の中核都市の基幹病院にいるときも,苦労して症例を増やせば,医局として,重要な拠点になるのではないか.その礎になれれば,次に続く後輩のためになればそれはそれで良いことだ,と純粋に考えていました.

 また,20年かけて,というか自分の生涯を掛けて,そのような拠点に仕立て上げた医局の先輩もいて,それはそれは,私のみならず,医局員全員から尊敬されていたものです(どこの医局でもこのような先輩は居るものでしょう).

 ところが,今はどうでしょう.がらりと変わりました.いや,がらりとは,研修医制度が始まった平成16年あたりから変わっているのですが,自分の直感というか感じるところですが,ここ半年,いやヶ月で,本当に勤務医の先生方の思考パターンが大きく変わってきたように思います.

 つまるところ・・・いくらがんばったって,結局は撤退です.撤退は仕方がない.医局でも医師不足です.それにしても,ここに昨今の,どうしようもない勤務医の無力感があふれてきています.

 私の友人でも,とある日本海側の中小都市で勤務医(内科)をしていますが,同様の事を言っています.そこも近々撤退が噂されています.誰でもそうだが,いろいろとやりたいことがある.2−3年くらいかけてやりたいことがある.しかし,医局の事など考えて,ずっとがまんしてきた.

 しかし,彼の場合もそのような気持ちがなくなった.本当にここ1-2ヶ月の間になくなった.話を聞いていてビシビシと分かります.

 彼とみな同様.今まで医局のジッツの維持,ということを考えがんばってきた.特にここ数年そうでしたね.それが,今,瓦解した.結論が見えてしまった.そのようなことが,ちまたにあふれかえりだした.

 医局ももう何も言えない.医局の指示,言葉を換えれば勧めで,ジッツのある病院に勤務しても,結局は医局の都合で撤退.じゃあ,次はどうするの? 今度はどうするの? 来年はどうするの? と言う話になる.当事者としては医局の持ってくる話も良いけど,今度は自分に考えさせてくれ,となる.もちろん医局は何も言えない.言う権利さえない.いや.実際に何も言っていない.「今度何かあったら,是非ウチに相談してくれ.悪いようにしないから」と言うだけである.

 

 ほんの少しだけ勤務医にもOBにも残っていたなにやら ,組織のために頑張るとか,後輩のために良い拠点を作る礎,踏み石になっても良いという発想が,私の勝手な思いこみかも知れないが,ここ1-2ヶ月で完全に医師の頭の中で崩壊しまったように思える.とにかくどんどん変わっている.悪い方に.

 

 きっと他のドクターも大同小異でしょう.若い人ほど顕著だと思います.

 このようなことをシンクロとでもいうのでしょうか.

 

 いや.シンクロ・・とはちょっと面白すぎる言い方かも知れません.実際に勤務医の先生方と話すと,どうしようもない虚無感がひしひしと伝わってくる.最近,それを特に強く感じるようになりました.医療崩壊,病院崩壊,と申します.その程度は今までは,あくまでも一次関数の割合というか一定の傾きで生じてきた.しかし,これからは放物線のように二次関数のように医師の数が減り,一線病院,機関病院が瓦解するかも知れません.その様な予感がします.

 かつて,A企画の記事で,以下のように医局崩壊のシュミレーションをしてみました.しかし,これは一次関数に基づいて計算をした.これが,かなり早まるかも知れません.

○医局崩壊 魔のシミュレーション・・・あなたの医局はいつ崩壊するか?

http://consultanthokkaido.web.fc2.com/IkyokuCrash/IkyokuCrash.html

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追)このままでは,医療崩壊は必至.厚生労働省や医師会の幹部は「事故調査委員会」なるものを立ち上げようとしているが,出てくる,「事故調査委員会(案)」を見ているだけで,絶望感と怒りだけが沸き上がってくる.

 そこにあるのは,厳罰をもって医師の統制と支配を計ろうとする厚生労働省の思惑です.医師会も医師の集団として,この案はだめだ,ということは一見して分かりそうなものなのだが,何か裏取引があるのだろうか.しかし,こんなところで取引をしてもしょうがないのではないか.あとあと禍根を残してしまう.この委員会がうまくいかなかったら,すべて医師会のせいにされるだろうし,それも仕方がないだろう.

 医師会が医師の代表であり続けたかったら,言うべき事はきちんと言っていかないとダメだ.

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対策 当方は一応企画会社ですから,このような絶望的状況においても,その対策を提示するのが務めであると心得ている.

 対策は・・・そもそも医療があっても物種だろう.医療を今は全力で守らなければならない時代である.とすれば・・・・

1)医師の時間外手当はきちんと払う.医師の労働状況をきちんとする.

2)救急医療と産科医療は,医療崩壊の危機が去るまで免責とする.これは国全部でやっても良いが,地方公共団体ごとに決めても良い.もちろん超法規的措置である.そうすると,とりあえず,面妖な「事故調査員会」は要らなくなる.

3)研修医制度の停止

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