十勝・帯広の救急医療体制に黄信号!

 こんなことを無策に続けていたら,帯広・十勝圏の救急医療体制はおそらく後2年を待たずに崩壊する!

(北海道新聞 19年12月17日 朝刊)

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北海道に住んでいるものとして,また,多少,道東地区で勤務したこともあり,この辺の経緯に詳しいし,また,何よりも,日本全国の医療崩壊過程とおそらく軌を一にするところがあるであろうから,この記事をしたためるものとする.

 帯広,十勝管内併せて30万位の人口が居るのだが,夜間の救急医療は,この新聞の帯広厚生病院,帯広協会病院,そして,民間で財団法人の帯広第一病院が担っている.3つの病院で当番制で夜間・休日の2次救急を回している.

 かつては,この3病院とも医師はある程度充足され,この体制は十分機能していた.

 しかし,平成16年に研修医制度が始まって以来,日本全国どこでもそうであるが,帯広でも,特に,協会病院,ならびに,帯広第一病院が医師不足に悩むようになってきた.医師不足が緩和し好転するには,研修医制度の停止しかないのであるが,政府はそれを知ってか,知らずか,研修医制度の停止などするつもりはないので,毎年毎年,医師不足はひどくなり,協会病院,帯広第一病院とも瓦解寸前である.診療科はどんどん減っていき,病院内の医師全体の数もどんどん減っている.今や,夜の救急どころか昼間の一般診療も大きく支障をきたしそうである.というか,診療科の縮小,外来時間の短縮ということは,行われている.

 ひょっとすると,来年には,名実ともに救急病院を返上するかもしれない.

 そうすると,厚生病院が救急を一手に引き受ける事になり,救急の仕事量は3倍.医師の仕事で何が辛いのかというと,やはり夜や休日に仕事をする事であり,つまり救急医療である.この救急医療を上手に配分することが地域医療にとって大事な事であるが,それを厚生病院が一手に引き受けるという状況が現実化した場合,この100名の医師を擁する厚生病院と言えどもあっという間に医師が疲弊し瓦解するであろう.

 もうちょっと具体的に説明してみよう.

 下の図は,1990年代後半のある時期の,救急に大きく絡んでいる,ある診療科の帯広市内の3病院の各々の医師の数である.

 帯広厚生病院は当時(今もだいたいそうであるが),ある診療科一科で,8名の医師が常勤していた.一方,他の二つの病院にも,それぞれ医師が常勤していた.

 帯広協会病院,第一病院は医師は少ないが,そこで3日のうち,1日の救急を受け持っていた.これは厚生病院にとって,かなり負担の軽減になっていた.第一病院など,一人の医師で受け持っていたものだから,この医師は本当に大変だったと言う事は想像に難くない.

 さて,そのように救急を軽減する事により,厚生病院のドクターは昼間の本来の診療に思いっきり力を割く事ができ,かつ,それが,厚生病院そのものの医療レベルの高さを保証し,かつ,それにあこがれて,若い医局員や医師にも人気のある病院となっていた.

 しかし,2007年の現在,状況は一変した.協会病院,第一病院は医師不足でじり貧で,診療科の数も減っている.来年からは,上の図の診療科も,厚生病院だけとなり,救急も毎日引き受ける事になるのかもしれない.つまり,医師の人数は同じでも,救急に割かなければならない負担は3倍になるわけである.おそらく,厚生病院の医師団の疲弊はあっという間に限界を超えるだろう.

 新聞で,救急医療のコンビニ化が大変な問題となっている.しかし,こんなこと患者にいくら訴えかけても無駄である.新聞では帯広厚生病院の小児科の例が載っているが,こんな勤務状態を続けさせたら,あと2年位で破綻する事は間違いがない.また,この時代,一度瓦解したら,後はどうやっても元に戻ることはない.例えば小児科・・・この時代,6人の小児科医を集めてそろえることは,もう不可能である.


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 そのための対策としては・・・このホームページでも再三述べられている事であるが

 ○時間外手当を満額キチンと払う.

 ○救急外来に来た患者から,診療費とは別に1万円くらい徴収する.これにより,コンビニ受診は激減する.

 ○夜間ずっと働いた場合は,翌日,全日か半日休みにする.これは病院を挙げてやらなくてはならない.うかうか働いていたら逆に叱りとばす位でなくてはいけない.

*この3項目をすみやかに実践しないと,2年以内に瓦解するだろう.

        

コメントから 釧路の情勢
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釧路危ない 投稿者:匿名希望 投稿日:2008/01/11(Fri) 06:54:05 No.870
 

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/life/69952.html

釧路3病院 循環器内科医を集約へ 医師会、労災減員 市立に重点配置(01/10 22:57)
 【釧路】釧路市が四月から、釧路市医師会病院と釧路労災病院の循環器内科の専門医師を減員し、市立釧路総合病院に重点配置する調整をしていることが十日分かった。医師不足が深刻化する中、集約化で勤務医の負担軽減を目指す。

 市立病院の循環器内科医は昨年四月に五人いたが、札幌医大が派遣医を引き揚げたため現在二人。

 その二人も三月で退職するため、市を中心に循環器内科の再編を検討していた。

 再編案によると、循環器内科の専門医は四月以降、市立病院が四人、医師会病院は現在より二減の二人とする。
労災病院は一人が退職予定のため、三人からゼロとなる。

 市立病院に集約化するのは、循環器系の手術を担う心臓血管外科の専門医が最も多いため。医師減となる二病院は
再編案を受け入れる方向で、労災病院は市立病院医師の出張による外来診療継続を希望している。

北海道新聞 2008年1月


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Re: 釧路危ない A企画 - 2008/01/11(Fri) 17:58:29 No.871
 
匿名希望さん 情報ありがとうございました.

うーーん,ただ,減っただけですね.




Re: 釧路危ない 北偉人 - 2008/01/11(Fri) 19:00:03 No.872
 
現在の釧路市立の循環器内科は札医大でしょう。心臓血管外科も札医大だったかな。医師会病院と釧路労災の循環器は旭川医大?
 いずれにしても釧路にとって循環器内科の医師の数が4月から半減するということは変わらない。
その4人は、2倍の仕事量の激務に耐えられることが果たして出来るのだろうか。
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Re: 釧路危ない A企画 - 2008/01/16(Wed) 11:20:17 No.873
 
早めに仕事量を制限するしかないと思います.

 まず,夜や夜間の救急,臨時に関して,選定療養を設定する.つまり,患者からその時間に来たら1万円位取る.そうすると,つまらない理由で来る人はいなくなる.

 また,時間外手当は労働基準法にそってキチンと払う.これは常識.これをやらなかったら医師はさっさと退職すべきである.

 必要であれば,救急を制限.例えば,月・水・金のみとするなど.これは病院でじっくり話し合う必要がある.

 これらを2ヶ月以内にでもやらないと,みんな辞めてしまうだろう.
 きっと釧路市立病院はやらないだろう.そして,みんな辞めてしまい大騒ぎになるだろう.


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Re: 釧路危ない 釧路勤務 - 2008/01/16(Wed) 14:22:41 No.874
 
はじめまして。
釧路市内の勤務医(一人医長)です。

釧路市立循環器科は、北大系で集約化されます。
市立5、医師会2、労災0.
(数が違うのは労災の退職者の代理が北大から来る。)

釧路市夜間急病センターを設置し、内科・小児科1次は急病センターで診ることになっています。

それで市立がもつか、どうかは別問題ですが・・・

市立の循環器が潰れたら、釧路の夜間救急は終わります。
帯広、北見に負担がいきますので、連鎖破綻をきたして、日高山脈から東は全滅ですね。
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あと2年 A企画 - 2008/01/16(Wed) 16:55:05 No.875
 
釧路も危ないが,帯広厚生もあと2年と私は見ています.

 病院をもたす努力,工夫を病院や市,地域が本当に考えなくてはならない時代になりました.

 今までどおり,好き勝手な事を言って,夜間に来て,金を払わず文句ばっかり言って,挙げ句の果てに訴訟をして,医師に負担ばかり掛けていると,すぐに医師はいなくなります.病院は崩壊して,二度と元通りになることはありません.

 日高山脈より東側は,「救急医療は医療機関は免責だあ」くらいの大胆な条例をぶちあげるくらいやらないと,救急医療ゼロ地域になります.

 あと,2年と思っています.
 つまり,2年以内に「釧路から循環器内科医一斉退職」とか「帯広厚生病院,小児科医3人退職.小児科救急は不可能に」という新聞活字がおどりそうです.

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