まったくバカバカしい学位謝礼問題

・・・しかし,これを切り抜けるには,ゴルゴ13なみのタフネスが必要だ

<医学博士号謝礼>名古屋大でも慣例化「100万円医局も」

名古屋市立大学大学院医学研究科元教授の汚職事件で問題となっている博士学位申請者から論文の審査担当の教授らへの謝礼が、名古屋大学大学院医学系研究科でも慣例となっていたことが毎日新聞の調べで分かった。複数の同大出身医師が「人事権を握る教授に目を付けられたくなかった」などと認めた。同大は「個人の良識に任せる」として調査はしないという。【桜井平、岡崎大輔】

 証言したのは、01〜03年度に同大での論文審査を経て学位を取得した愛知県内のいずれも40代の男性勤務医。

 名古屋市近郊の勤務医は先輩の助言で、審査の主査の教授に20万円、副査に5万円を渡した。主査からは10万円程度の祝い品が届いたという。「あいさつ程度の意識だった。医局ごとに謝礼が義務的だったり自由だったりで、断る教授もいた。相場が100万円の医局もあった」と話す。医局や教授によって相場に差があり、三河地方の勤務医は「審査のお礼に約30万円を合格者で折半して渡した。折半方式だったので合格者が多いほど助かった」と語った。

 また「自分は渡していない」という名古屋市内の勤務医も「多い人は1本(100万円)包んだ」と証言。慣例の背景を「先輩と違うことをして、へき地に送られるのを避けるのが一番の理由。我々は首根っこをつかまれていた」と説明した。尾張地方の勤務医も「系列病院に派遣する人事権を握っており、教授の力は絶対だった。謝礼を払わない方が怖かった」と話し「昔からみんなやっていたこと」と強調した。

 浜口道成・医学系研究科長は「事実なら情けない。やってはいけないことに決まっている。だが受け取る側と渡す側の見識の問題で、大学として調査はしない」と話した。

 事件では、名市大大学院元教授の伊藤誠容疑者(68)が、口頭試問の内容を学位申請者5人に事前に教えた謝礼に現金を受け取ったとして収賄容疑で逮捕された。

【コメント】

 ここまでいくと,あまりのくだらなさに,呆れかえってしまうのは私だけだろうか.

 しかし,この手の事でも警察が動いているので,それに対して万全の腹づもりは必要である.

 警察は,そのような謝礼を受け取った,ということを立証しなければならない.そのために捜査している.見つからなければ,かなり,不本意なこととなる.ある意味で彼らも必死である.

 このような手のものには領収書は存在しないので,やっぱり,本人の自供がすべてであるし,これを是非とも取りたいと警察は考えるだろう.

 こんなところで,正直に自供するようでは,これから大学にも勤められないし,医師としてもやっていけない.厳しい言い方だろうか.

 自供したら,警察の思うつぼ.その人の医師としての,そして,学者としての人生は水の泡となる.こんなくだらない事でだ.

 世の中,何かをしてもらったら,そのお礼をするのは当然の事.それは公務員であろうが,民間であろうが関係ない.そのようなことにまで,首をつっこんでくる警察.何か手柄を立てたいからである.

 警察に何を言われても自供はしない.「あなたにお金を渡した」という人間が居ても,軽く否定する.それ以上は何も出てこない.

 そのようなタフネスが必要だ.

 医師や大学の医者にも,ゴルゴ13なみの図太さ,タフネスが必要なのである.そうしないと,何も悪くない事で引っかかってしまう.本当に注意だ.

 自分の出世だけを考えている警察に,自分の人生を棒に振ってまで,協力なんかする必要なんてない.

ひたすら「否認」あるのみである.そうすればやつらは何も出来ない.あと,自信がなければ早めに弁護士を呼んで下さい.


 参考 既出記事 :ゴルゴ13並みの精神的タフネスが要求される医師という仕事

        ・・・訴訟・逮捕はもはや他人事ではない 特に管理者が甘ちゃんではこれからの時代はダメ.

コメント from 医師の卵
先生の御意見には驚きました。博士号(PhD)はサイエンスにおける世界共通のライセンスであり、博士としてのトレーニングを受けた者として認識されます。ただでさえ医学部はこれを乱発しているのに金銭で謝礼を送っていてはお話になりません。世界に飛び出そうとしている日本の博士に対する国際的な評価を下げることになると思います。


PhDというのはその辺の適当な資格と異なり国際的な基準のある資格であり、研究に携わる者にとってはそれこそ医師免許のような重要な資格になります。


そこをあまり御理解されていないようなので医師が大事にしている医師免許に例えてお話してみるので客観的に判断してください。


日本の医学部では6年間のトレーニングを行い、ようやく医師ライセンスをもらえます。ところが一部の学校では4年間くらいアルバイトをしながら勉強していればなぜか医師ライセンスをもらえてしまいます。しかもそこはなぜかお礼という形で金銭を支払っています。


自分はせっかくちゃんとした教育を受けて海外で働こうとしても一部の変な慣習でライセンスを発行する学校のせいで日本のライセンスは信用ならんと不利になります。


これで納得できますか?金銭の額の問題ではありません。


いい加減なことをやるならせめて医師の世界だけの資格でやってほしいものです。それでも資格審査を行う人間に金銭を送るという行為は普通の人間には納得してもらえないと思いますが・・。
2007/12/18



医療技術は芸道です from A企画

 医師の卵 さんのご意見,拝聴しました.

 ネーミングから,医師の卵というか医学生と思い,ご意見したします.

 日本の医学博士が乱発気味かどうかは私は分かりません.数年間在る研究に従事し,論文を書くともらえるものですが,そこに色々なドラマがあるものです.やってみると,なかなか大変なものです.価値があるものかどうかは別として,若き日の勲章のようなものと考えています.

 例を挙げると,武道の黒帯と似ています.柔道の黒帯は大学や高校のクラブに入り2-3年やると大体の人がとれるようです.しかし,一方で極真空手は厳しくて,なかなか取れないようです.黒帯を取ったという事は相当の達人のようです.

 だからといって,講道館柔道が黒帯の権威を落としているという事はないと思います.
 自分が強ければ強いと思うし,黒帯を取っても弱い,強くない,思うのもその人それぞれ.別に基準を合せなければならないと言うものでもないでしょう.

 世界に羽ばたく研究者とは夢のある話ですが,医学博士号がそのようなことを保証するわけではない.国内でも国外でも研究室に入って1年もやっていれば,周りのものにはその人がどの位出来るか,どの位やる気があるのか,否応なしに分かる.芽が出る人もいれば,芽が出ない人もいる.
 
 ただ,自分もアメリカの研究室で研究に従事していた事もありますが,先方で受け入れてくれた理由は,
 ・医局の先輩がそこに行っていた事.彼の紹介.
 ・自分が学位を持っている事
 ・自分の書いた論文がいくつかあったこと.
だと思います.向こうも,私に見ない内から大きな期待をしているわけではない.ある程度知っているだろう.科学的な基本的な知識や基本手技はできるようだ,という認識であったと思います.

 言いたい事は,だれでも実際に見た事が勝負.そこでどれだけ出来るか.それが大事.学位を取った事は過去の事です.

 あと,これが本題ですが,何か世話になった人にお礼をするというのは世間一般で行われている事です.謝礼もその一環.
 審査をする人間に審査をする前にお金を送るとしたら,問題だし,あまりにもさもしい話だが,謝礼は,すべてが終了した後の純粋な意味でのお礼です.

 芸術,芸道の世界ではこんな話はいくらでもある.琴や三味線で名取りを取ったお礼とか,武道などで免許皆伝をいただいたお礼といろいろある.医師の世界は芸道の世界と一緒です.医術はアートです.だからこのような事が違和感なく入り込みやすい.

 そんなことに,警察まで出てきて,目くじらをたてること自体がおかしいことだと私は思うわけです.

 このようなことに警察まで動いてがたがたしていると,アート自体が崩れてしまう.医局の一種独特な雰囲気も芸道を教える稽古場みたいな所だからです.一般の無理解から,医局という稽古場をつぶしはしましたが,特に新しくてすばらしい稽古場が他にあるわけでもない.だから芸道を身につけられないドクターが今や大量に生産され,それが医師不足の大変な原因になっています.今回のも滅びに至る笛の一小節です.だから私は大変警戒しています.

 

2007/12/19



逮捕は遅すぎたくらいです。from Sato
A企画さまのおっしゃる、医術はアートというのは同感です。
しかし、この名古屋市大の前教授は公務員でした。したがって、公立大学での学位の審査は、公務員の職務に含まれます。お歳暮ていどのものならともかく、数十万〜100万というお礼は、公務員としての便宜供与と検察に判断されても仕方ないかと思います。他の学部では、キャッシュでお礼などまったく想像外といいます。小生も大学院卒業時に、合計数十万円を学内の慣例に従いましたが、いまでも納得のいくものではありません。結婚式の仲人でお金をとるのはプライベートですから問題ないですが、国公立大学の学位授与は公務員の職務であるからそうではない。お金をインマイポケットしているのだから、収賄罪に該当する可能性はありそう。これは、法解釈の問題です。最終的には検察→裁判所が決めることですが、業界のこれまでの慣習がどうのこうのが、法律、条例、政令を蹂躙してよいものではありません。民法90条の公序良俗違反であり、そんな慣習も取り決めもいいわけもまったく無効です。なお、贈賄側が、もしも警察の調べに「金は渡していない」を嘘をつけば、公務執行妨害や偽証罪にもなりうるので、それはきわめて危険な行為です。これが、私立大学だったら、公務員ではないから法解釈上はどうなるのか知りたいところです。
もちろん、この見せしめ的な逮捕により、全国の国公立医学部教授は、学位審査に関してお金を受け取らなくなるでしょう。よほどの剛の者か大バカを除いては。逮捕されてしまえば、社会的信用はゼロになりますし、教育職からも去らなくてはならないでしょう。この出来事ののちに、この業界がどうかわるかはわかりません。いままでが、世間からかけ離れたあまりにもクレイジーな世界だったのですから、起きるべくしておこったことだと思います。昭和40年代くらいに、起きていれば、この業界もここまで歪まなかったかもしれません。
2007/12/19


世の中にはグレーな所もある
Satoさん コメントありがとうございました.

 Satoさんのおっしゃること 100%正しいことと思います.しかし,そのことを承知の上で私なりにこの意見を上呈おります.

 この問題,公務員だから金を受け取るのはダメ,というところに行き着くし,警察が上げるとすればそれしかない.逆に,この手の話,公務員でなければ何も問題はない.

大学の,特に国公立の大学の医局は日本の医療,医療系研究の拠点.
 地域医療への貢献,また,医学研究の業績には見るべきものがあった.
 このような研究の花形はやはり,理工系であろうが,医師が研究することにより,医療現場での問題点が,理工系の学者にも伝わり,また,理工系の研究の事が医療の中にも入って来られる.
 そして,日本の医療系の科学技術分野は大きく伸展し,今や世界トップクラスである.

 つまり,今まで非常にうまく回っていた.そのようなものを,「公務員は金をもらってはならぬ」というような理屈で,ぶち壊してしまって良いのだろうか.

 世の中には言わなくても良いもの,言わずに済ますもの,グレーなものもいっぱいある.

 また,世の中にはまだまだ沢山の取り締まるべき悪がある.

 そのことを思うとき,この問題は非常にくだらないな,と思うのである.

 また,「公務員が金をもらってとんでもない」と義憤の念にかられるより,何か,別な力が働いているのではないか,と考える事も重要ではないだろうか.

 名義貸し,研修医制度,・・・一連のことで日本の医療の拠点は弱体化し,地域医療も崩壊した.
 医局というものが無くなって欲しい勢力があるのではないだろうか.

 そして,久しぶりの一撃が,この謝礼問題.

 と言う角度から考えなくてはならないのではないだろうか.
2007/12/19



]>>医局というものが無くなって欲しい勢力があるのではないだろうか.
そして,久しぶりの一撃が,この謝礼問題.
と言う角度から考えなくてはならないのではないだろうか.

全く同感です。一連の流れで、厚生労働省が率先して、医局講座制度の全面廃止を目標にしていると思われます。
医局が臓器別講座制度になり、教授ポストは増えましたが、教授の権限は数分の一になりました。新臨床研修制度導入は劇薬で、医局離れが加速しています。国立大学の独立行政法人化も、大学病院の一般病院化を促し、医局離れに貢献しました。さらには、メディカルスクール構想は、医学系大学院がアメリカでいうところの職業大学院になってしまうことですから、医学部のアイデンティティーにかかわる大変革になると予想されます。そして今回の逮捕劇ですから、教授になるメリットが目に見えてなくなっていく。優秀な人材が、さらなる大学離れを起こすと思われます。
逮捕されれば、たとえ不起訴処分でも、失うものが多すぎます。今回の逮捕劇は、全国の大学教授に衝撃が走ったでしょうね。
しかしながら、国防にかかわる某事務次官の収賄などにくらべれば、たかだか一地方大学の医学部教授のみみっちい収賄など、ミジンコのようなものであり、世間にとってはどうでもいいことなんでしょう。私も「まったくバカバカしい学位謝礼問題」と思います。ほんと、セコイ話です。
2007/12/19 17:10 | sato #- URL [ 編集 ]


しかし,馬鹿な事をしたものです
 コメントありがとうございます.

 色々な勢力があり,医療というものに食い込み,うまい汁を吸おうとしているが,その時に邪魔になるのが,医局と医師会です.

 とにかく,一回バラバラにしたい.そして自分たちの好きなようなシステムを作りたい.

 と考えて,医局を潰してしまいましたが,医局は医療の拠点基地であり,それに代わるものがないので,日本の医療が潰れてしまった.都会も地方もない.「マグネット・ホスピタル」とつぶやいてみましたが,拠点など出来るはずもない.

 そして今回はこの謝礼問題.新聞記事では「医局の暗部にメス」なんて書かれていましたが,迫力など,まるでない.

 中国人マフィアの暗部にメス,と言うと,なにやら今の時代,鬼気迫る迫力があるが,いまさら医局にメス,といわれても,何さ,という感じ.

 もはや医局は崩壊している.メスもクソもない.
 
 ただただ,医療の崩壊,医療科学の崩壊をもたらすだけです.「万能細胞」が最後になるかもしれませんよ.

 ひたすら,訳の分からないうまい汁を吸おうとした勢力がいるわけですが,それに迎合した国民,日本国,馬鹿な事をしたものですね.低コストで,質の高い医療システムを自らの手で壊してしまった.

 私に言わせれば,「またかい」という感じ.

 とにかく,この手のもの,領収書があるわけでもないし,否認は可能.証拠がなければ警察は何も出来ない.捜査は宙に浮き,恥をかく.

 とにかく奴らは本気だと言う事.当事者も,本気でかかって欲しいものだ.それが日本の医療を,魔の手から守る道である.

 私は,以前に,医者はゴルゴ13なみのタフネスが必要,という記事を書いたが,その様な時代に本当になりました.
2007/12/19 18:13 | A企画 #WOfZdObw URL [ 編集 ]



お返事ありがとうございます。


医師の方々の意見には正直落胆いたしました。自分は生命科学系のPhD取得後医師免許を取得したものです。


国際的な資格に医学博士という概念はありません。MDとPhDがあるだけです。なのでPhDは世界共通の資格であり、極真だから難しいなどという理屈は通らないと思います。極真の中でお金を出して取るヒトと出さずにガチンコでとるヒトがいるというのが正しい例えでしょうか。


ちなみにアメリカにいかれたのは給料をもらっていたのでしょうか?ポストを用意してもらえず、ちゃんとした論文も書かれていないのであれば研究者の中では留学と言わず遊学といわれるものです。そうであればあまり参考になる話ではありません。「ちゃんとした研究職」につく際に「ちゃんとした資格」を持っているかが問題にならないという主張でしょうか?


一流の研究室に5年単位の職を補償するポストにつく場合はコネだけでは入れないと思いますが・・。


私がいいたいのは天職集団は自浄能力を持つというのが重要ではないかというだけの話です。自分達は特殊な集団で芸術家(?)だから世間一般の話を当てはめるなというのではなくて他の集団にも興味を持ち、聞く耳を持つことが重要化と思います。


自分の周りだけみて、みなやっているからやって何が悪いというのでは額は低いですが守屋事件となんら変わらないと思います。動くカネが少なければいいのでしょうか。


医局制度崩壊で自分達以外の責任を挙げる前に政治的な交渉を諦め安易に名義貸しに走ってしまう、問題が起これば情報をひたすら隠蔽してしまっていたなどの医局制度の陰でどれだけ問題を起こしてきたかを反省する。(もちろんその後で医療崩壊については糾弾しなければいけないと思います。)


今回のような事件があれば理学・工学・農学など他の分野では研究費は安く、謝礼などもない状態で研究成果を上げることが可能であるのに何故自分達は金銭授与をせねばならなかったのか。またいっさい議論されていませんが金銭授与が起これば当然便宜をはかる=審査を有利に進めようとするベクトルが働くことも容易に予想できます。これらを一切無視して口をつぐめとは医局の悪しき風習そのものではないでしょうか。


自らを省みず相手の問題点のみを挙げる。それはむちゃな医療制度を押し付けるお上や病院閉鎖に追い込む地域住民となんら変わらないと思います。





2007/12/19 19:42 | 医師の卵



結局,大学の自治,学問の自由に対する挑戦です


医師の卵さんのご発言は,非の打ち所がない位,完璧です.しかし,もっと大きく見て欲しい.ある組織があったら,良い点も悪い点もある.その度合いがどうなのか.その様な点からも見て欲しい.
 たとえば医局.良い面もあるし,一種独特のものもある,直裁に言うがこの独特な体制を悪い面であるとも言える.その引き算でどうだったのかを見る事も必要です.悪い面だけを挙げて,潰してしまったのが今の現状です.
 気がついたら,医師を派遣しその医者の質を担保するという点で,かなり社会に貢献していた.したがって,医局を潰した事により,医者も来なくなった.救急を見られなくなり死人が続出するのはそう遠くない.私たちがその一人になるかも知れない.

 さてさて前置きはこのくらい.結局,世の中には,グレーゾーンもあるし,しきたりめいたものもある.そのようなところで世の中が回っている,皆が飯を食える,という所がある.そこをぐっちゃにしたら,システム自体が崩壊し,その組織の人だけでなく,沢山の人,医療の場合は地域住民が,大損害を被る事がある.
 また,この世の中,あえて言わなくても良いものだっていっぱいある.

 それこそ,今回の謝礼問題.つまるところは,謝礼の額云々が問題ではなく,「公務員なのに金をもらった」ということに尽きる.警察がひっっくくるとしたらそれしかない.

 私,個人的には,理学,工学,農学系で,学位を取った折りに何らかの謝礼をするのはあるのかないのか,分からないが,そんなことが問題ではないのです.

 理学,工学,農学系だって,学位を取った,主任教授から就職先や留学先を世話してもらった.そんなときに,何らかのお礼・・・お金,レストランで食事,あるいは,お中元,お歳暮などを贈る.
 何らかのことはあるかもしれない,あっても別に良いのではないかと思うし,それは私個人としては,微笑ましい事だと思います.美しい師弟関係です.少なくてもそんなところまで官憲がズカズカと踏み込んできて欲しくない.


 全部がそうやっている,とは申しません.そう言う事もあるのではないか,という私の推測です.また,その様なケースは一件もない,と言い張られても逆に,私にはにわかに信じがたいものがある.
 
 それはさておき,これは全部,公務員の倫理と言う点からは,ダメ ということになります.名古屋市立と同じように警察の捜査が入るかも知れません.
 もちろん受け取っていたら,辞職ですね.

 こんな考え方どうですか.奇天烈ですね.

 名古屋市立 結局ナンセンスな見せしめです.別にこれが名古屋市立大学医学部でなくても,○○大学理学部でも良いわけです.「お歳暮もらったな」で,教授追放です.そんなストーリーだってあったかもしれない.

 だからバカバカしい,というのです.

 また,このようなことは,良い悪いは別にして,慣習,しきたりみたいなところがある.また,医学部の謝礼にしたって,それが払うために,ローンを組んだとか,大変な事になったとか,また,世間で言われるように,払わなかったから,飛ばされた,と言う事は私は聞いた事がない.謝礼というのはあくまでも自分の気持ちで,それ以上でも以下でもない.
 そのような当人の気持ちの領域に官憲がズカズカと踏み込んできて欲しくない.迷惑です.

 新聞にあったように,100万というのはすごいな,と個人的には思いましたが,きっと,極端な例を新聞が記事を面白くするために挙げたのでしょう.マスコミはいつもそんなことをします.

 最後に申し述べたいのは,警察の一連の行動,また,今まで,国立大学独法化,研修医制度,名義貸しなどでの医局つぶし・・・これらは結局は学問の自由と大学の自治を潰そうという動きです.

 結局それがどのような形で今,現れているか.一例は山形大学です.
 あそこは文部官僚が学長に天下りした.今までない事だったので私は驚きました.
 持参金もある.重量放射線施設(ちょっと名称がハッキリしない)です.数百億,数千億します.ちなみにそれは国民の税金です.そして,それに執拗に反対した整形の教授は解任です.この学長とこの一連の動きは無罪ですか? 変ですね. 法に従っている? 彼ら官僚は法律を扱うプロですよ.ボロなど出しません.彼らが法律なんです.少なくても,そんな人たちと,私ら医者が法律とか,政治とかそんな土俵で太刀打ち出来るわけがない.

 国立大学の学長のポストが文部官僚の天下り先になる・・・こたえられませんね.しかし,最も大事な学問の自由と大学の自治の崩壊です.

 これは,つまるところ,そのような動きと連動しているものなのです.

 追)私,名義貸しの何処が悪いのか,今の今でもさっぱり分かりません.
 結局,にわかに出てきた「勤務実態」という概念で,取り締まってしまった.結局,もたらされたものは地域医療の崩壊です.また,おっかなくて,田舎で病院をやろうなんて考える人はいなくなりました.

 医者が病気になったらその人はカウント出来るのか,産休はどうなんだ? いろいろ無限に解釈がある.どうとでも解釈出来る.そしてある時,突然,違反です.犯罪人扱いされ,病院はお取り潰しです.変な話です.

 
2007/12/20 10:32 | A企画


グレーゾーン
裏金を作り、転勤時に送別としてその金を送り、内部告発があっても告発者を村八分にするところがどうしてそんなことができるのでしょう。

医学部に関しては、そもそも、お金で学位どころか、私立大学入学もお金でしょう。もちろん、一部は実力でしょうが、やはり個人の実力の見極めが必要です。

「科学の進歩はグレーゾーンの拡大である」そうですが、現在の日本ではグレーゾーンをいきなり処罰することがしばしばみられます。グレーに身を置かないようにしていてもどこがグレーかすらわかりません。
2007/12/20 12:27 | 基礎のMD #- URL [ 編集 ]



グレーゾーンがだれかの恣意によって突然崩壊する


基礎のMD さん.コメントありがとうございます.

 グレーゾーンがだれかの恣意によって突然崩壊する ということは,名義貸しでも見られました.
 老婆心ながら言いますと,名義貸しにも明瞭なルールがありました.それは,当たり前だけど,だぶって医籍は使えません.つまり,○○病院に勤務している医師が二またを掛けて,登録することはもちろん出来なかった.

 だけど,大学院に居る人とか.留学している人,は医籍を使用していない.このような医師の医籍を借りるわけです.
 解釈としては「院長の指示で大学で研究している」とか「院長の指示で海外留学している」と言うようになるわけです.
 善悪は別にして,このような形でずっとやっていたわけです.厚生省自身が認めていた.
 それが,突然「勤務実態がない」というようなことを言われ,みんな違反になった.
 結局,医師を集められない,田舎の国保病院や町立病院は開店休業のような状態になりました.

 ご存知のように,田舎の国保病院や町立病院と言ったって,建て替えをして,結構立派な病院が多い.設備もすごい.それが開店休業,とはまた,勿体ない話です.

 名義貸しは,結局は,善悪の問題だけで語られ,現在,ケリがついていますが,振り返ると,政府の医療費削減策,あと,日本の医療を自分たちの良いように作り替えたい勢力の思惑が働いたものです.
 結局,ツケは地域住民に回りました.病院にかかるのに遠くまで行かなくてはならないくなり,開店休業状態の国保病院,町立病院を赤字を垂れ流しながら維持している.

 今まで,どうも,みんな,善悪だけに目がいきがちでしたが,これからは色々な観点から見ていかなければならないのではないのでしょうか.
 この度の,学位謝礼問題もそうだと思います.人の気持ち,というだれにも侵されたくない領域に官憲がある日突然,ズカズカと踏み込んできた.ナンセンスです.

追)学位を取るのは自分の場合は大変でしたがね.お金は絡んでいない.また,自分の仲間もみなそうでした.
 本来の臨床を一時,Quit して,研究に打ち込まなければならない.
 私立医大もひところは「お金」という感じもありましたが,今はけっこう入学が難しい.というのも事実です.授業料はバカ高いですが,それを払う事のできる集団での競争もまた激化しているのも事実としてあります.国公立の医学部ほどではないですが,それ相応の偏差値を取らなければ,入学は不可能です.

 また「科学の進歩はグレーゾーンの拡大である」とは面白い言い回しですが,私はここでは述べておりませんので,念のため.
2007/12/21 11:38 | A企画

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