当たり前であったが,札幌医大にも派遣を断られた江別市立病院
   ・・・が,まだ頑迷に,救急外来を手放さないとは!

1.札幌医大に医師派遣を要請するも断られる

江別市立病院に常勤医の派遣は困難 札医大が中間報告  
                         2006/09/20  北海道新聞


 江別市立病院の内科の常勤医が九月末で総辞職する問題で、常勤医の派遣を要請されていた札幌医大は十九日、医学部教授らで構成する医師派遣調整部会を開き、「十月一日からの派遣は困難」との中間結果をまとめた。北大の各医局からの派遣も難しく、内科医不在という異常事態がいつまで続くか、依然として不透明だ。

 同病院は八月下旬、札医大に内科の常勤医三−九人を十月一日から派遣するよう要請。内科の四講座(医局)が検討したが、派遣できると回答した講座は無かった。

 十九日の調整部会で、部会長の島本和明・札医大病院長は「社会的影響が大きく現時点で派遣不可と最終決定はしない。(常勤以外でも)どのような形なら派遣できるかを含め再検討したい」と述べ、十月中旬にあらためて結論を出す方針を示した。

 これまで内科医を派遣していた第一内科をはじめ、北大の各医局も派遣を要請されているが、「道内の多くの病院で医師が足りない中、江別だけを北大ぐるみで支援するのは難しい。医局だけに頼らず、医師の公募を積極的にすべきだ」(医学部教授)との声が上がっている。

 江別市立病院は札幌医大の医局にも院長も派遣含み(これは独自調査で判明)で医師派遣を要請したが,断られたようだ.

 江別市立病院の院長人事は北大第一内科の人事の一環であった.北大第一内科の推す人を院長にする代わりに,江別市立病院は北大第一内科から手厚い医師の派遣を受けていた.世の中,何事もギブアンドテイクであろうし,この関係がちゃんとしてれば,両者の関係も末永くちゃんとするものだ.

 しかし,江別市立病院は,自分の所の医師を院長にしようとした.このギブアンドテイクの関係を崩しにかかったのである.
 そうなると,当然,ギブアンドテイクの関係が崩れたのだから,この業界の「しきたり」に従って北大第一内科は医師の引き上げをすることになる.また,折りもおり,内科医師らは日頃の激務がたたって青息吐息.まさに,引き上げの期は熟していたのである.

 本来,このようなことをしようと思ったら,事前に何処かの医局に声をかけておき,医師が引き上げられてもすぐに補填できるようにしておかなければならない.
 江別市立病院はあまりに無策だったし,また,時代が悪かった.研修医制度が始まってからどこの医局も医局員が入らなくなって人手不足.今までのジッツ(関連病院)を縮小するのに懸命なのである.

 江別市立病院は今まであまりつきあいのなかった,札幌医大にも声をかけたという(耳鼻科には札医大の耳鼻科の医局から人が派遣されていたようだ).
 一連のゴタゴタで,江別市立病院が推していた医師も院長になるのを辞退した.よって,江別市立病院は札幌医大に院長も含めて医師の派遣を要請したという.
 
 医局制度が崩壊した今,北大も札幌医大もないと思うし,こんな事を言うのは,個人的に嫌で,また,ちょっと時代遅れなせりふであると分かっていながら,あえて言わせてもらうと・・・・

------ああ! 札幌にありながら札幌市内とその近郊に有力なジッツを持たない札幌医大にしてみたら,これは,垂涎の好条件であった---------

 しかし,研修医制度が始まって,時代はもう変わったのである.

 もうすでに札幌医大も,医師を派遣できる力はないのだ.札医大の内科系の医局には例年10人以上の医局員が入ってきていたが,今やどこも往年の1/3程度.とてもじゃないが,江別市立病院に医師を派遣できる医局などありはしない.
 もっとも,一連のゴタゴタのあったところにあえて行ってみたいと思う人もいるはずがなのであるが・・・・

札医大との交渉に失敗し,やけ酒を喰らう

2.産婦人科医の引き上げ

江別市立病院、産婦人科も医師ゼロ 北大派遣打ち切り、来春にも  
                   2006/09/20 北海道新聞

 【江別】江別市立病院は二十日、現在二人いる産婦人科の常勤医のうち一人が年末までに辞職、残る一人も北大が派遣を打ち切るため来春で辞職すると発表した。このため産婦人科は、後任の医師を確保できない限り、本年度末で休止となることが確実となった。同病院では九月末までに内科の常勤医師全員が辞職することが決まっている。

 同病院の産婦人科は八月まで三人の常勤医師がいたが、一人が同月末で帯広市内の病院に移り、九月から二人体制となっていた。同病院によると、二人のうち一人は年内に派遣元の金沢医大に復帰。残る一人についても、派遣元の北大産婦人科医局から「来年四月からは派遣できない」との連絡があったという。

 このため、同病院は十二月一日以降の新規の出産予約の受け付けを停止した。既に同病院にかかっている妊婦についても予定日が十二月十六日以降の場合は、別の医療機関を紹介する。

 産婦人科は当面、主に婦人科外来の診療に当たるが、十月二日以降は新患は受け付けないという。

 同市の小川公人市長は「二十二日の市議会厚生常任委員会までコメントできない」と話している。

 そうこうしている内に,産婦人科も総引き上げとなるようである.私の予想したとおり,もう,沈没船から逃げ出す鼠のようにワーーーと医師の撤退がこれから始まるだろう.もうすでに病院としては機能していない.
 江別市立病院の外来表を見るとそれがよく分かる.

 内科医師は9月一杯で退職であるが,半月前から有給休暇を取って事実上,すでに解散状態である.外来はまったく埋まっていない.(外来表 クリック  平成18年9月22日現在).

3.頑迷な固執
 しかし,この場に至ってまで頑迷にも,愚かにも,江別市立病院は,まだ,夜間の救急外来を続けようとしている.
 江別市立病院の出す募集要項を見ると,夜の7時から朝まで勤務できる求めている(求人広告 クリック).昼の医師もいないのに夜の医師を捜してどうするのだ.なんという愚かさであろうか.

 江別でやっていた救急外来は,病院とは切り離され,市役所の建物の中に移されるという.しかし,ここで誰が救急の当直をするのだ.やっぱり市立病院に勤務している医師か.そうだとすると,今までと状況はまるで変わらない.
 救急外来に固執したため全戦線が崩壊し,病院機能が喪失する状況を招きつつある.

 江別市立病院は病院として残りたいのであれば,即,救急外来を停止しなくてはならない.また,市役所の中の救急室に市立病院の医師を関わらせてはいけない.その様な事を明確に宣言しなければならない.それが,病院再興の第一歩となろう.それを今やらなければ,きっと近い内に瓦解するであろう.

4.誰が彼らを嗤えるだろうか

 しかし,これは江別の市当局者の無能さに責任の全てを帰せばそれで良いのだろうか.彼らの無能さを思いっきり罵倒するのは簡単だ.

 しかし,私はそうはしない.彼らは分からなかったのである.人間というものは前例のないことは分からないものである.

 今までは,医局の言うことを聞いていればそれで良かったのである.時に,すごく高い医療機器を買え,などの無理な要求もあったかもしれない.

 安いものなら,すぐに買えばよいし,高いものであれば,2 - 3年放っておいて様子を見ている.何度も医局から言われるようなら,「これは本当に必要なものかも知れない」と考え,ちょっと近隣の病院に様子を聞いて,そして,「医局の皆さんの勉強になるのなら,うれしいですよ」などと,ちょっと勿体を付けながら購入しておけば良かった.

 しかし,研修医制度が始まって状況はがらりと変わった.これからは病院は自分の頭で,医師を捜し,必要な物品を買い,医師の人数と業務のバランスは取れているかを考えていかなければならない.新しい時代が来たのである.

 もう,分からない,では済まされない.ちょっとした対応のミスが,病院崩壊にまで及ぶ大被害をもたらすこともある.

 このホームページを熟読され,諸事に間違いのない対応をされることを私は望んでいる.

平成18年9月22日

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