全内科医が辞職 江別市立病院 過酷勤務「燃え尽きた」
(北海道新聞 平成18年9月3日)
江別市立病院 建て替えたばかりであるが・・・・
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「もういっぱい,いっぱい。燃え尽きました」。
九月で市立病院を去る中堅の内科医は,病院での勤務を振り返る。
この医師は月八回,市立病院に一九八四年に併設された市夜間急病診療所(夜診)から回ってくる重症患者らを治療する「拘束」で夜勤に入ってきた。非番でも患者が運び込まれれば,自宅から駆けつける。これに日中の毎日百人の外来と入院患者の治療が加わった。
月の半分は自宅に帰れない。倒れそうになると院内で仮眠し,そのまま夜勤に入る。内科医の派遣元の北大第一内科に増員を頼んだが,医師は来なかった。「これ以上無理です」。医師は昨秋,院長に辞意を伝えた。
「総合病院の中にあって,深夜でも見てもらえる」という評判が広まり,患者は増え続けた。
「このままだと全員がつぶれる。夜診を切り離し,市内の民間病院と二次救急を分担できないか」
別のベテラン医師は二年前から,市の夜診運営委員会で訴えてきた。
ところが,運営委は今年三月,「併設でいく」との結論を出した。
「とてもやれない」。ベテラン医師は辞意を固めた。
内科全員の辞職の申し出に驚いた市は四月,夜診の市役所錦町別館への移転を決めた。
この医師は「全員が辞めることになってようやく動きだしたのか」と,あきらめの気持ちだけが募ったという。
●解析●
【内科医はなぜ辞めたのか】
聞きしに勝るオーバーワーク.一月の内の半分は病院に泊まり込む様な状態であったという.挙げ句の果てに,「燃え尽き」て,辞職した,ということだろう.記事通り.
【果たして,このような労働の限界はどのくらいか】
江別市立病院を管理する市の職員にしてみれば,「このままだと全員がつぶれる。夜診を切り離し,市内の民間病院と二次救急を分担できないか」と医師から言われても,「去年まで救急外来もやっていたのに,なぜ急に "できない" と言うのだろうか」と思っていたのではないだろうか.「さぼりたいだけではないのか」と不信感を抱いた職員もいたのではないだろうか.
市の職員が,医師の仕事を理解は出来ないのが当然であるのだが,したがって医師の仕事の限界も分からないのである.それが今回の事件の淵源である.
その「限界」というものを私が明瞭に示そう.私が,このホームページの,「A 日常勤務に対する待遇 の 当直(Click)」の項で述べたように,医師を病院に泊まり込ませるのは,寝当直でさえ月に4日が限界である.
ところが,江別市立病院の場合は,月の半数,つまり,15日間当直させてしまった.それも,寝当直ではない.バリバリに忙しい救急外来でである.限界はとっくに超えている.
したがって,全員がつぶれ,辞職するのは至極当然の成り行きなのである.
明瞭にもう一度,繰り返しておこう.