B)休暇
 休暇の主なものは以下の通り.これをどうするか,これからは病院は医師に明示した方がよい.

 1)ゴールデン・ウィーク

 2)正月休み

 3)週末の休み

 4)夏休み

 5)有給休暇

 6)学会のための休み


【1)2)3)4)に関して,複数人所属する科の場合】

 休暇は一つの科に2人以上いれば,比較的抵抗なく取ることが出来よう.有給休暇,学会などで平日休むときには,早めに掲示し,外来の予約などを絞り,また,相方が休んでいるときなど,面倒な手術を入れずにしていけばよい.これは科内で十分調節の利く話である.

 ゴールデンウィークや正月休みなども半分ずつ取ることが出来る.ここは半分休むことが出来れば十分だと思う.


【ひとり科の場合】     →クリック 一人科のマネジメント

 問題は一つの科にひとりの医師しかいない,いわゆる「ひとり科」の場合である.特に,小児科,産婦人科,整形外科などのように,患者が多い科がひとり科で,しかもその地域に他にこのような科の病院がない場合,1)2)3)4)に関しては,その地域を挙げて考えていかなければならない問題となる.

 一人しかいないのだから,頑張ってくれ.ゴールデンウィークや,正月休み,週末も何とか待機してくれ,という従来のような姿勢では,医師は誰も居着かないであろう.

 まずは,不退転の決意で,ゴールデンウィークや,正月休みの半分,ならびに週末は1週おきに医師をフリーにすると病院トップが宣言しなくてはならない.そして,病院全体,地域全体でサポートしなくてはならない.そのような理解を病院と地域,また,地域の医師会で共有していかなくてはならない.そのためには,病院トップが地域の医師会でサポートの依頼をし,市役所や町役場とも密に話をしなければならないだろう.このような他の病院,医師会へのはたらきかけなどは,院長や理事長など病院トップが責任を持ってやらなければならない.このような慣れぬ地域での働きかけは新任の医師の仕事ではない.

 居ないときに,応援に来くれる医師がいるのが一番良いのだが,研修医制度が始まり,医局の医師派遣機能が消滅しつつある今,その様な医師は,もはやいないのが現状である.そのような甘いことを考えていては大局を見失ってしまう.

 ある科がその地域にあれば,かなり便利である.とにかくその街にその科があり,少なくとも昼間なら何とかしてもらえる.それを良しとしなくてはならない.夜も昼も働けるだけ働かせて,潰してしまっては元も子もない.

 特に今や希少価値さえ出てきている,小児科,産婦人科の場合,その地域に居るというだけでもよしとしなくてはならない.この小児科,産婦人科のような希少科の場合は,「平日の9時から5時までしか,外来は診ないし,時間外の救急患者に対応しない」ときっちり定めた方が良い.これを厳然と定めないと,ずるずる来る患者のために,医者が疲労のあまりすぐにつぶれてしまう.厳然と定め例外は認めない,このようなスタイルで医師を求めていくことが現代では必要であろう.


【有給休暇,ならびに夏休み】

 有給休暇は法律に定められており,アルバイト北海道などの求人誌の後ろの頁にも必ず載っているので,看護婦さんや一般職員はこのことをよく知っているのであるが,医師は余り知らないようである.

 仲間と話をしていると「今の病院は厳しいよ.夏休みだって3日しかないんだぜ」ということを言う人がよくいる.有給休暇のことを知らないのである.

 有給休暇のことは,医師に周知させ,取らせるようにしなくてはならないだろう.特に注意しなくてはならないのは,大勢の人がいる科で,トップがあまり休まない人がいる.そうすると,その科の下の人も休暇を取りづらくなることがある.有給については,病院トップが積極的に医師に働きかけ,取らせるようにするべきである.

 ひとり科であっても,有給休暇を取らせなくてはならないし,取らせる事を明言し実践すれば,安心して働くことができるようになる.

 ちなみに,有給休暇は以下の表の日数を最低限,取ることが出来る.

継続勤務年数 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年以上
付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

 表の見方:勤務して半年(0.5年)すると,有給休暇を取る権利が発生する.0.5年ー1年の間に,有給休暇を10日間とることができる.同様に1.5年ー2.5年の間に有給休暇を11日取ることが出来る.よく,1週間ほど夏休みをとらせる職場があるが,これは有給休暇である.


【学会】

 医師にとって学会への参加は,勉強の機会であると同時に,リフレッシュのチャンスでもある.現に,学会でしか旅行できないという医師は私の周りにも多いものである.故に病院側が医師の学会参加に対してどう考えているかというのは,在職中の医師にとっても,職を求める医師にとっても,大きな関心事である.

 私の知り合いの産婦人科医で,彼は大学で医局長や講師にまでなった人であるが,大学を辞めて個人の産婦人科の病院に就職する際に出した唯一の条件が,「年に2回,学会参加を認めること」であった.この産婦人科医も有給休暇のことも知らなかったし,時間外労働費も「まるめ」であった.そして,せっせと休日も夜もお産だ何だと言って働いていた.彼と家族の唯一の楽しみが,その年2回の学会参加を兼ねた家族旅行であった.しかし,彼は働き過ぎが原因で数年前に逝去された.

 このようなキーポイントとも言える学会参加であるが,どのように認めるのか明言している病院は少ない.大勢の医師を擁する科なら学会参加は比較的容易に出来る.優雅!に学会に参加する医師がいる一方で,小児科,産婦人科などの,忙しいひとり科の医師がそれを羨ましげに思うという図式は,多くの病院で見られる状況である(すると,小児科医,産婦人科医がさっさと辞めてしまい,その科が閉鎖されるというのも昨今もう珍しいことではなくなった).

 だから,学会参加に関してきちんと明言することは,魅力ある病院に生まれ変わるひとつの効果的な方法である.また,このことに関してここまで明瞭に述べて求人している病院はない.このことを明言することは,他の病院との差別化をはかることが出来ることなのである.

 学会参加規定について,A企画からの提案を下記する.

学会参加規定(A企画提案)
1.年2回の学会参加を認める(このうち外国での学会参加は年1回まで.1回は東京,1回はアメリカというのも可とする)

2.学会のための休職期間は最大14日までとする.

3.学会参加の院の支援として,2日間の学会休暇と,7万円前後の参加費を支給する(札幌 - 東京 往復の飛行機運賃と東京での宿泊費と食事代,移動にかかる経費をおおまかに計算して,7万円前後とした)

【解説】

 北海道外の学会参加を年2回とする.国際学会参加も認めてあげる.外国にまで行ってすぐに帰ってこいと言うのは,野暮である.最大2週間まで病院を開けてもよいとする.しかし,病院として公的に認める休暇は2日まで.あとは有給休暇の消化とする.また,有給休暇が足りなくなれば,日割りで給料を減額する.そのようなことはキチンとするべきだし,医師という人種はそのことを受け入れるものである.その様な減額より,学会に参加するという自由が保障されているということが医師にとって嬉しいことなのである.

 学会参加のための支援費を一例として1回6万円としたが,これは東京往復し,東京に1泊止まることを想定して算出した.学会は東京の学会に行くこともあるし,大阪,九州,時にはヨーロッパの場合だってある.いちいち場所によって値段を変えても意味がないと私は考えている.繰り返して言うが,医師にとって学会に参加する時間的余裕が与えられることが最大に嬉しいことなのであり,その援助金など極端な云い方をすればどうでも良いことなのである

 目次  設立の目的  最近の医療情勢に対する解析  会社紹介  A企画へのアクセス 

     

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